【市民リポート】上田市 塩田産大豆ナカセンナリの味噌仕込み体験
市民リポーター 清水 まりこ
【市民リポート】上田市 塩田産大豆ナカセンナリの味噌仕込み体験
◆基本調味料『さしすせそ』の『そ』、味噌のお話です◆
味覚って不思議ですよね。
個人個人、好き嫌いはあっても、また成長に従って好みに変化は出てきても、基本を成すのは幼い頃に慣れ親しんだ味。それがその人の味覚の基本になっているのでしょう。
そんなわけで生まれも育ちも上田人の私としては、無くてはならない食材のトップに、やはり味噌をあげたくなります。
お味噌汁や鍋ものは勿論、ドレッシングやディップ、種々の隠し味……味噌無しでは一日としていられない。
お味噌汁ときたら、具材に野菜やお肉、海産物と変化もつけやすく、栄養バランスも整えやすい。
更にはおかずにできるほどボリューミーにも作れてしまいます。
自治会のイベントや合宿、時には炊き出しなどで登場する豚汁はその代表格で、それ一品でもう立派な『おかず』
そんな味噌を上田市の老舗味噌蔵『武田味噌(株)』より武田晴太郎さん、お姉さまの市川絢子さんのお二人を講師に自分たちで仕込んでみました。
市川絢子さん、武田清太郎さん
歴史をさかのぼると、かつて味噌は贈答品や給料の代替えとして支給されていた高級食材の時代があり、いわゆるペースト状になって味噌汁が登場したのが鎌倉時代だそうです。
鎌倉武士のパワーの源ともいわれる一汁一菜のお味噌汁は『医者要らず』と言われて、必要な栄養素を手軽にとれる食べ物だったのでしょう。
古くから日本人の食文化を支えてきた伝統食品である味噌。
今やスーパーや専門店で手軽に購入することができますが、その昔はこの上田地方や周辺でも自家製造するお宅も少なくありませんでした。
それでは、味噌を自分たちで仕込んでみましょう。
塩田の里交流館とっこ館にて味噌仕込み体験の始まりです。
主原料の大豆、塩、麹から、まずは麹をほぐしていきます。
胞子が煙状に立ち上がります
大豆は産地、塩田地区の若手大豆生産者集団『しおだSUNタイズ』の『ナカセンナリ』
代表の宮澤敏弘さんのお話によるとナカセンナリは
①病気や虫に強く、取りこぼしが少ない、つまり生産性が高い。
②味噌、豆腐、納豆などの加工品にすると甘味が強く出る。
といった特徴があるのだそうです。
蒸した方が旨味成分は逃げませんが、茹でた場合はゆで汁を捨てるなど勿体ない。とっても良い出汁となると教えていただきました。
この大豆を武田味噌さんが蒸してミンチ状にしたものと塩を、先ほどほぐした麹に混ぜます。
20分~30分、ひたすら混ぜ混ぜ
発酵の立ち上げを促すために、種味噌を溶かした塩水を注いでさらに混ぜます。
この種味噌は、本来門外不出。
武田味噌さんのご協力により、この日、門外に出てしまったというわけですね。
種味噌を溶かしたものを注いで更に混ぜます
いい感じになってきました
手のひらにとれる位のボール大に丸めます。
さすがの手早さです
自由、固定観念なし……子どもが味噌玉を作ると、こうなります。
かわいい
「いい味噌になりますよぅに、えーイッ」と樽に味噌玉を投げ入れていきます。
この「えーイッ」の勢いで中の空気を抜くのですね。コツです。
これを武田さんがきれいに均して下さいます。
空気を抜いて、表面を平らにしてパラパラと塩を振る……味噌ソムリエでもある武田清太郎さん、さすがの手際の鮮やかさに目が釘付け。
仕事が美しい
この日は自分で熟成させる方は持ち帰り、武田味噌さんにお任せしたい方はそれもよし、とのことでした。
麹という生きものを扱う難しさで、熟成の速度や状態は天候に左右されるそうです。
常温で置くと発酵が進むし、楽しみで何度も開け閉めすると白カビがつきやすいので、食べる分だけ小分けしておくと良いとアドバイスいただきました。
そして待つこと4か月……、武田味噌さんに管理をお願いした味噌が出来上がりました。
荷姿も美しい。
仕事へのリスペクトと愛情が感じられます。
健康によい発酵食品で、免疫力を上げてくれ、栄養素の豊富さから、天然のサプリメントともいわれる味噌。
特にお味噌汁は、手軽に作れて地産地消の促進や食育にも適しているため、学校給食やイベントにも多用されています。
お味噌汁は幼い頃から口にしていたおふくろの味、ふるさとに直結する味として、一番懐かしく心もお腹もほっこりと満たしてくれる一品だと再認識した一日でした。
武田味噌(株) 創業昭和5年
https://takedamiso.jp/
直売店 【菱屋】 北国街道柳町
https://takedamiso.jp/html/user_data/hishiya
雰囲気ある店構え
しおだSUNダイズ:連絡先 信州うえだ農業協同組合
〒386―1325 上田市中野87番地
(電話)0268―38―3101