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【市民リポート】メディアランドUEDAサイエンスCAFE: 絵具について知る講座            ┅┅  絵具は何からできているのでしょう、作り方を学んでマイ絵具をつくっちゃおう ┅┅

2024.04.24

市民リポーター  清水 まりこ

【市民リポート】メディアランドUEDAサイエンスCAFE: 絵具について知る講座
┅┅  絵具は何からできているのでしょう、作り方を学んでマイ絵具をつくっちゃおう ┅┅

上田市下之郷のマルチメディア情報センターにて面白そうな企画がありました。

誰もが手にしたことのある美しく色とりどりに並んだ絵具セット。
チューブを押すとすぐ使える状態でニュッと絵具が出てきてとっても便利です。
でも絵具ってどのようにできているのでしょう?
絵具の代わりに昔は何を使っていたのでしょう?
創業96年になる埼玉県の絵具メーカー (株)クサカベ、技術開発部の笠原祐介さんがこんな不思議に答えてくださいました。

笠原祐介さん「色って何だろう」

 

ラピスラズリの青が印象的な絵画

 

全ての色は色の三原色である赤、青、黄で出すことができるのだそうです。
絵具の材料は①顔料と②のり材
①顔料
これは粉状で、大昔、人々は洞窟の岩面に色を用いて絵やメッセージを描きました。
学校で習いましたね、フランスのラスコー洞窟やスペインのアルタミラ洞窟壁画などです。
既に20,000年もの昔、ラスコーの壁画には多くの動物や人間、手形等が描かれており、その頃は赤土、木炭等を樹液や血液で溶かして絵具としたのだそうです。
土を焼いたり、根っこを煮出したり、昆虫を用いたりして手に入れた色彩。

 

興味津々 昆虫から色がとれる?

 

インディアンイエローなんて素敵な名前で呼ばれる澄んだ黄色に至っては、そのルーツがマンゴーの葉のみを食べさせた牛の黄色い尿だったと聞いた時にはワワッ!と驚きました。
そのように元々自然の素材から手にした色味を使って、自分の感情やメッセージを表す手段としたのですね。

1665年頃のフェルメールの作品『真珠の耳飾りの少女』はフェルメールブルーともよばれるターバンの青が印象的ですが、これはラピスラズリを砕いて粉状にし、のり材を混ぜて絵具としたのだそうです。

 

②のり材
アラビアガムとよばれ、樹液を水に溶かしたもの。
(油絵具はのり材がアマニ油などの植物油となる)
のり材が変わると絵具の種類と描ける素材が変わってきます。

今、工場で製造される絵具は回転方向と速度が異なる三本のロールから成る『三本ロールミル』で顔料とのりを何度も練り合わせ、目視と測定器で色や固さがしっかり管理されています。
そして便利なあのチューブ入り絵具になって私たちの手元にあるというわけです。

絵具のルーツを学んだら、お待ちかね、一人一人絵具を作ってみましょう。
この日は水彩絵具です。

絵具を作る道具ひとそろえ

 

講師の笠原さんが各テーブルに青と紫の顔料、のり材(アラビアガム)、パレットナイフ、ガラスの練り棒、チューブの末端を折り返す尻折り機を準備してくださっています。

さてさて、今からフェルメールブルーならぬ◯◯ブルーや△△パープルを作り上げるべく、4~5人ずつテーブルに着きます。

 

①顔料とのりをパレットに取り、パレットナイフでひたすら混ぜる。ナイフに取って持ち上げた時にタラタラ~とたれるまで頑張る。

 

混ぜるのもコツがいります

 

うんうん、いい感じかも

 

②一部をパレットの真ん中に取り、練り棒で20回くらいグルグル練る。少し取ってはグルグル、少し取ってはグルグル、これを自分の分の顔料が全部終わるまでやるのは思いの外に力作業です。

 

見た目以上の力仕事

 

なにしろ、皆さんがやってるのは工場で『三本ロールミル』がやるべき工程です。
粉のザラザラ感が無くなり滑らかになるまで、やはりひたすら頑張る。
因みにこれ、「しぼればチューブから絵の具が出る」なんて無かった昔、これから絵をかく師匠のために、その日に使う分だけ弟子がやっていた作業だそうです。
全部が練り上がると、練る前のものと比較して格段に艶が違うことに気づきます。

③筒状のアルミの容器にパレットナイフで絵の具をすくってはタラタラ~と入れていく。
筒は細目のため、息を止めて真剣に、集中力が必要です。

 

 

 

 

 

「筒、細いから難しいんですけど」

 

④適量まで満たしたら尻折り機で容器の末端を二度ほど折り返す。

チューブのお尻を折り返して

 

⑤できた絵具のチューブにシールを貼り、色の名前を入れ、プラスチックのケースに収めて完成。

完成!

 

こうして世界に一つのスペシャルな絵具が完成しました。
「早く使ってみたい」と小学生の男の子くん。
そうですよね、これを使って絵をかくなんて、今からもうワクワクしてきます。
各自丹念に作った絵具を、皆さんがハンカチなどに包んで持ち帰る様子が微笑ましく印象的でした。

上田市マルチメディア情報センター
〒386―1211
上田市下之郷812―1
☎(0268)39―1000

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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