【市民リポート】朗読集団「風よ」朗読会3
市民リポーター 栁澤 悦郎
【市民リポート】朗読集団「風よ」朗読会3
こんにちは。市民リポーターの「エリア66(ロクジュウロク)」こと栁澤(ヤナギサワ)です。
今回は、サントミューゼで開かれた朗読会のリポートです。
令和5年11月29日、上田市サントミューゼ多目的ホールにて、『朗読集団「風よ」朗読会3・・朗読とちょっとだけ音楽・・』が開催されました。参加費は500円でした。
朗読と言えば、確かに小学生の頃には、私も朗読をしました。人に聞かせるというよりは、授業でしかたなくというのが実情ですが。
それを皆さんの前で催すのが朗読会です。
以下は、作品を読んだことのない方には、多少のネタバレが含まれますのでご容赦ください。
演目1.「かわうそ」向田邦子作 藤松則子さんの朗読です。
〇写真提供「風よ」
定年間近な、さえない男性が主人公。年下の奥さんと喧嘩もない毎日を過ごしてきた主人公ですが、200坪の庭に、奥さんがマンションを建て始めたがる所から変化が始まっていきます。そして、主人公の急な病気をきっかけに、奥さんの様子が変わり、更に、ある秘密が発覚。そして、奥さんが「かわうそ」に見える主人公。でも…。
サスペンス劇場のような、どろどろした愛憎劇かと思えば、さにあらず。主人公の心の葛藤と、でもやはり奥さんが愛おしい、そんな主人公の心の内を、ひょうひょうとした語り口で表現されていました。
演目2.「供物」浅田次郎作 加藤道子さんの朗読です。
〇写真提供「風よ」
再婚して、優しい夫と二人の子供と幸せに過ごす主人公。そこに前夫の訃報が。酒癖の悪い前夫の暴力に耐えかねて家を飛び出してきたのに、「供物」に前夫の好きな物を選び弔問に向かう主人公。消し難い記憶を抱えつつ苦しみながら何とか弔問に向かうと、そこでは記憶から消してはいけない人物との出会いが・・・
心締め付けられる場面を、情感たっぷりに表現されていました。思わず目頭が熱くなりました。
演目3.「蕗問答」山本周五郎作 秦一夫さんの朗読です。
〇写真提供「風よ」
江戸時代のお話。物忘れがずば抜けた、筆頭年寄りの主人公。お国自慢がきっかけで、殿様に諫言(かんげん)に向かったのに、仔細(しさい)を忘れてしまって、四苦八苦する主人公。苦し紛れに、しこめで有名な殿様のお側仕えを嫁に欲しいと申し出てしまい・・・。
主人公の武士ならではの意地っ張り振り、殿様のいたずら心と、何とも言えないやり取りに思わず吹き出してしまいました。武士の重々しくも、困惑した様子が、とても効果的に表現された朗読でした。
歌.男性ヴォーカルGG4の歌です。
〇写真提供「風よ」
「ちょっとだけ音楽」の題名通りに登場した、「GG4」(ジージー4)の皆さんの合唱です。4人合わせると、うん百歳と言う自己申告から始まり、アカペラで童謡等を聴かせてくれました。ダークダックスを思わせる合唱で、素晴らしかったです。合唱もですが、合間の語りが、何ともおとぼけ感満載で名人芸。笑わせてもらいました。
演目4.「小雪舞う日の怪談語り」宮部みゆき作 別府のり子さんの朗読です。
〇写真提供「風よ」
とある橋の上での約束事を破ってしまい、不思議な世界に迷い込んでしまった妊婦が主人公。元の世界に戻るには、自分の寿命10年かお腹の子1年かを要求され・・・。
摩訶不思議な世界に迷い込んでしまった妊婦の後悔の念、お腹の子か自分かの寿命を差し出す時の母の思いとその強さ。主人公の表情が見えてくるような朗読でした。
演目5.主婦は踊るより「主婦と体育」青木るえか作 秦芳枝さんの朗読です。
〇写真提供「風よ」
とにかく動くのが嫌いな主婦が、なんとスポーツジムに入会。そこで出会うジム通の方々の、あるあるなご高弁。そしてさらには・・・。
何とも言えない「あるあるの世界」を、軽妙な語り口での朗読でした。、クスリとしながら、ウンウンとうなずいてしまいました。面白おかしく聴かせてもらいました。
演目6.「天切り松闇がたり」浅田次郎作 庄村恵三さんの朗読です。
〇写真提供「風よ」
留置場に新入りした老人が主人公。ただならぬ気配をまとう、その老人が語り出す、義賊夜盗のしきたりや修行の話に皆が引き込まれていく・・・。
怪老人の演じ方が、思わず背筋がゾクリとするような、まるで勝新太郎の座頭市のようで、凄みが伝わってくる朗読でした。
出演者の何人かとGG4は、信州国際音楽村合唱団VPGのメンバーとの事でした。
新しい世界に招き入れて頂きました。皆さま、ありがとうございました。
主催者情報
・朗読集団「風よ」
お問い合わせ先:090-2765-7025 庄村
後援者
・信州国際音楽合唱団VPG
・信州民報社